中国やベトナムなどでOEM契約した工場から、契約で制限した数量を超えた商品が生産され、それが横流しされるケースが少なくありません。

参考:「正規工場からの横流し品を防ぐ

 

数量制限に反しているので、契約違反であることは間違いありません。

 

では、もし登録商標付きの商品を中国などでOEM生産させていた場合に、契約で定めた数量を超える商品が生産されて、それらの商品が日本に輸入されていたら、それは商標権を侵害していると言えるのでしょうか。

商標権を侵害している商品であれば、商標権に基づき税関の輸入差止めなどの手続きが可能です。

また輸入された後でも、商品の販売差止めや商品の廃棄を請求することができます。

一方、商標権の侵害ではなく、単なる契約違反に過ぎなければ、輸入差止めなどの商標権の行使はできません。

 

中国などの海外でOEM生産させた登録商標付きの商品を日本へ輸入する行為は、いわゆる並行輸入と呼ばれています。

日本では、並行輸入は、商標の機能を害しない限り商標権を侵害しません。

契約違反だからという理由で、それが商標権を侵害するわけではありません。

 

並行輸入が、商標権を侵害する、と言うためには、「商標の機能を害する」、と言わなければなりません。

商標の機能とは、出所表示機能と品質保証機能のことを指します。

 

ところが、OEM生産した商品が、「商標の機能を害する」、と言うことは簡単ではありません。

 

例えば、1000個の商品の生産を委託する契約した場合において、契約内容を超えて1500個の商品が生産された場合、1500個の製品のうち、どの商品が商標の機能を害する商品で、どの商品が商標の機能を害さない商品であるかを、区別することができるでしょうか。

つまり、どの商品が、出所表示機能や品質保証機能を害していて、どの商品が出所識別機能や品質保証機能を害していない、と区別することができるでしょうか。

 

出所表示機能については、どの商品も同じ、すなわち、出所表示機能を備えています。

また品質保証機能についても、1000個目に生産された商品と、1001個目に生産された商品の品質が違うと言うことは、1001個目の商品が不良品でもない限り現実的ではありません。

 

個別具体的に判断していかなければなりませんが、OEM生産された商品の輸入で、商標権侵害を主張するハードルは低くはありません。

 

OEM契約で大切なことは、ライセンシーを適切に管理し、もし契約違反が起きてしまった場合には、対応方法を明らかにしておくことに尽きます。


弁理士 田中智雄
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