商標は取得しただけでは価値はありません。

商標を使い続けていくことで信用という価値が商標に化体していきます。

商標を価値あるものにするためには創業と同時に長い時間をかけて商標を使い続けていかなければなりません。

 

商標と同じように時間をかけて築きあげていく財産があります。

ファイナンスです。

 

事業を営んでいく以上、必ず資金が枯渇するときが来ます。

このときに有利な条件で資金を調達できる企業はファイナンス力という財産が構築されているといえます。

ファイナンス力を築き上げるために必要なことは返済の実績を作ることです。

 

過去に一度も借金をしていない企業に対する融資は、その企業がどんなに大きくても融資の条件は厳しくなります。

資金が枯渇している状態で初めて融資が必要になっても、この状態で手を差し伸べてくれる金融機関はありません。

過去に返済の実績さえあれば、有利な条件で融資を受けることができます。

将来の資金需要に備えて資金に余裕のあるときにあえて借金をし、時間をかけて返済し実績を残すことがファイナンス力の構築につながります。

 

さて借金をする時期ですが、創業時をおいて他にはありません。

創業時という最初で最後のこのときは、創業融資という様々な低利の公的融資を利用することができます。

創業融資の一番の特徴は、何の実績もないの低利の融資を受けることができることです。

 

創業時を逃して融資を受けようとすれば財務状況や事業実績を開示しなければなりません。

財務状況や事業実績が悪ければ高利、担保、連帯保証等、融資の条件は厳しくなり、それでも条件を満たさなければ融資さえも受けることができません。

融資が必要な企業は概して財務状況や事業実績が悪いので、融資を受けたくても融資を受けることができないのが現状です。

財務状況や事業実績が必要のない創業時は借金をするうえで絶好の機会でもあるのです。

 

財務状況や事業実績という企業の実体を審査ができない創業融資では、「形式的な書類」を揃えることが審査の合否を左右します。

「形式的な書類」とは、自己資金があることを示す預金通帳、オフィスの賃貸契約書、事業計画書の3つです。

これ以上の企業実体を審査したくても審査できないのが創業融資なので、創業融資で審査が通らないことはまずあり得ません。

 

公的融資のなかでも自治体の制度融資と日本政策金融公庫を利用するのが一般的です。

どちらの融資を利用するかは、自治体が利子補給を用意しているか否かで分かれます。

自治体の利子補給を利用できるならば、自治体の制度融資が最も低利です(利子補給を用意している自治体で創業するという方法もあります)。

自治体の利子補給を利用できなければ、金利と保証料を加えた額は公庫と差がないので(一般的に日本政策金融公庫の方が低利)、手続きが簡素で融資が迅速な日本政策金融公庫が良いでしょう。

 

日本政策金融公庫のメリットは、担保、連帯保証人が不要なこと、口座に制限がないこと(ネット銀行は利用不可)、担保や連帯保証人を追加すれば金利の優遇があることです。

利子補給が利用できない場合の自治体の制度融資は、信用保証協会と融資窓口となる金融機関が存在するため、手続きが面倒なうえ、利用する金融機関の口座しか使えないという制限があります。

日本政策金融公庫と違い、法人代表者の連帯保証、金融機関によっては担保も必要な場合があります。

 

中小企業の場合は法人に対する融資であっても代表者の個人保証が必要という現実をこのときに知らされるわけですが、日本政策金融公庫が連帯保証不要の融資を提供していることを考えると、金利のメリットがない自治体制度融資を利用する理由はありません。

 

制度融資を利用する場合、融資窓口となる金融機関との間で融資契約を交わすのですが、このときに代表者個人の連帯保証をつけている以上、法人が返済不能に陥った場合は、金融機関はまず連帯保証人である代表者個人に弁済を求めます。

金融機関のプロパー融資と同様、連帯保証人の財産の差し押さえという強行手段もありえます。

信用保証協会が保証しているから言って、保証協会がすぐに代位弁済をしてくれるわけではありません。

 

保証協会の代位弁済のタイミングは、金融機関が代表者個人による弁済が不可能と判断したときです(金融機関は通常90日程度の回収努力を続けます)。

保証協会による代位弁済後は、保証協会と法人及び法人代表者との間で返済計画を練るわけですが、このときも信用保証協会への一括返済が原則です。

 

信用保証協会の役割は、金融機関が何の実績もない創業企業に対して融資を実行するための裏書を与えるに過ぎません。

信用保証協会に保証料を払った利用者が返済不能に陥ってもセーフティーネットにはならないと考えておくべきです。

 

とは言うものの信用保証協会が公的機関であることを考えると、信用保証協会が民間金融機関と同じように強制的な回収を行うとは考えにくいわけです。

公的機関に求められるのは適正な手続きに則って処理をしたかであり、手続きが適正でさえあれば、その後の責任は問わないというのが役所的な考え方です。

ある程度の代位弁済を想定し、代位弁済後に回収不能に陥った場合は、これまで積み立てていた保証料で補填する、というのが保証協会のビジネスモデルと考えるのが適切です。

 

併設の行政書士事務所で資金調達の相談を行っています。


弁理士 田中智雄
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