喫茶店や病院の待合室に備え付けられている本には「持ち出し禁止」のシールが貼られています。

「持ち出し禁止」の目的は、所有権に基いて本という有体物を管理するという目的もありますが、著作権法に配慮したいという目的もあります。

著作権法は複製権や送信権など多くの権利から成り立っていますが、その中に雑誌や書籍を無断で貸与させないための権利(貸与権)というものがあります。

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そうすると、

喫茶店に備え付けられている雑誌をコーヒを飲みにきたお客さんに見せることは貸与権に抵触しないのか?

病院の待合室に備え付けられている雑誌を患者さんが見せることは貸与権に抵触しないのか?

という疑問が出てきます。

 

貸与という言葉の意味は物を貸し与えることです。

であれば備え付けの雑誌をお客さんや患者さんに貸し与えているようにも考えることもできます。

 

もし貸与ということになれば喫茶店や病院、さらにはラーメン屋さんに至るまで、店内に備え付けられている雑誌を見せることは全て貸与権に抵触してしまいます。

これでは都合が悪いので文科省が喫茶店や病院のなかで見ることは閲覧であり貸与ではないという見解を出しています。

 

喫茶店や病院のなかで雑誌を見せることは閲覧なので貸与権に抵触しない。

では喫茶店や病院の外で雑誌を見せることはどうでしょうか?

閲覧ではなく貸与になります。

 

「持ち出し禁止」の理由は、雑誌の貸与にならないようにするためなのです。

 

店内で雑誌を見せることは閲覧であり貸与ではない、というのは行政庁の見解でしかありません。

もしかしたら店内で雑誌を見せることが貸与に該当する、という司法判断がいつか下されるかもしれません。


弁理士 田中智雄
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