ソフト開発で起こるトラブルの多くが納期の遅延です。

中国企業の場合、個々のエンジニアの能力は優秀でも、組織としての納期管理という点ではまだまだ発展途上です。

納期遅延のトラブル対策として、契約書に、トラブルが起きた場合は、信義誠実の原則に則り誠意を以て話し会い、それでも解決しないときは司法解決するという条項が盛り込まれますが画餅に過ぎません。

 

Medium 213285209

photo credit: jurvetson via photopin cc

 

納期遅延のトラブルを未然に防ぐ、または納期遅延のトラブルが起きにくい環境を積極的につくることが大事です。

 

トラブル対策の1つに金銭を絡める方法があります。

通常、ソフト開発の支払い方法は、報酬の半分を前払いし、残額を開発終了時に支払う方法が一般的です。

しかし高額になりがちなソフト開発では半額とは言え決して安い金額ではありません。

まとまった支払いが行われると、それだけで人件費などの固定費用が回収できているので、仮に開発が中止になり残額が支払われくても受注側は大した損害にはなりません。

一方、半額とは言え費用を支払った発注側は、多少のトラブルにも寛容になり、なんとかして作業を進めてもらおうという受身の姿勢になります。

 

そこで開発工程を分割し、工程終了ごとに報酬を支払う方法をおすすめします。

さらに工程ごとに納期を設定し、納期遅延の場合の金銭ペナルティを設定できれば効果的です。

 

マイルストーン払いと呼ばれるこの支払い方法は、例えば1000万円の報酬支払いの場合、開発工程を100分割し、各工程が終了するごとに10万円を支払います。

受注側からすれば、工程が終了しなければ報酬が支払われず、また納期が遅れれば金銭ペネルティが課されるので、自ら納期を守ろうというインセンティブが働きます。

発注側も各工程の成果物が完成した段階で報酬を支払う方法なので、仮に開発が中止になっても成果物を確実に受け取れるというメリットがあります。

 

もう1つのトラブルは開発途中の報酬改定です。

開発が後半に差し掛かった段階で、報酬の値上げを要求してくることがあります。

理由は様々ですが、悪意があるケースでは、見積もりの段階では費用を抑えておき、契約を締結したあとに報酬の割増を要求するというケースです。

開発後半に差し掛かると、時間的及び金銭的な理由から、発注側は割増要求を受け入れても開発を強行したいという気持ちになります。

 

このようなことを防ぐために、開発途中での割増要求は一切受け付けないこと、報酬改定を申し出るときは契約を一度解除し、支払い済みの金銭を返還したうえで、再度契約の交渉をするという条項を盛り込んでおきます。

 

契約は攻撃です。

そして攻撃がトラブルを防ぐ最大の防御でもあります。


弁理士 田中智雄
田中特許事務所(静岡駅徒歩5分)
054(266)3888
www.zepto.jpn.com