技術情報を守るためには、特許を出願して特許権を取得する方法、秘密ノウハウとして管理する方法があります。

どちらも一長一短で、企業の方針によって取り得る方法が異なります。

しかし中国で技術情報を守るためには特許を出願した方が安全確実に技術情報を守ることができると言えます。

 

なぜなら技術情報を秘密ノウハウとして守るために大切な秘密管理が中国では簡単にできないからです。

技術情報を簡単に管理できない理由として中国の特殊な事情があります。

中国では人材の移動が激しく、スキルアップを理由に1年毎に労働契約を更新していくケースが少なくありません。

賃金等の条件が合わなければ労働契約を更新せずに転職します。

短期間で転職を繰り返すため会社に対する忠誠心を醸成することが難しく、情報漏洩に繋がりやすいと言えます。

労働契約のなかには退職後の守秘義務条項が当然に盛り込まれていますが、残念ながら情報漏洩の抑止力にはなっていないのが現状です。

 

さらに中国では知的財産などの無体財産を尊重するという考えが十分に浸透していません。

特に技術情報は文書化されていることが多いため、データのコピーや紙媒体の複製が簡単にできてしまいます。

 

技術情報を中国に置かないという方法もありますが、中国が今後も製造拠点であり続ける以上、中国から技術情報を排除するという方法は現実的ではありません。

 

特許を出願して技術情報を守ることのデメリットの1つに、技術情報が公開されてしまうことが挙げられます。

しかし技術情報が公開されるのは特許を出願してから1年半後のことです。

競合他社が同じような目的で研究開発を行っている状況では、遅かれ早かれ類似の技術が競合他社によって開発されます。

技術のライフサイクルが短縮しているので、1年半もの間、非公開であり続けるだけでも十分に競合他社に対して優位に市場開発や研究開発を進めることができます。

 

費用の点でも特許を出願した方が有利です。

技術情報を秘密ノウハウとして管理する方法が確立されていないため、これで十分という管理方法がありません。

秘密を維持していくために一体どれだけの費用を投入すれば良いのかが全く予測が尽きません。

 

一方、特許を出願して技術情報を守る場合、特許出願の手続きが確立しているため、最終的に権利を取得して維持していくのに、どれだけの費用が必要かが予測できます。

 

海外に進出する日本企業は今後ますます増え続けていきます。

しかし日本人とは習慣や思考が違う人たちを相手に企業の秘密管理をしていくことは並大抵のことでは実現できません。

 

特許法を始めとする知的財産法は今や世界中の国々で整備されています。

特許法などの知的財産法を上手に利用すれば、秘密ノウハウよりも簡単確実に技術情報を守ることができます。


弁理士 田中智雄
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