中国では地方政府との折衝を円滑に進めるために接待や金銭の授受が行われるのが普通です。

例えば、中国で飲食店を開業する場合には衛生許可が消防許可が必要になります。

ところが地方政府の役人の中には正当な理由もなく許可を出し渋ることがあります。

また毎月申告する税務内容について税務局の職員が異議を唱えてきたり、税関が貨物を通関してくれない場合があります。

 

このような場合に、安易に職員に金銭を授受したり接待をしたりすると、日本の不正競争防止法に規定する外国公務員贈賄罪が適用される可能性があります。

 

第十八条(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)

何人も,外国公務員等に対し,国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために,その外国公務員等に,その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと,又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として,金銭その他の利益を供与し,又はその申込み若しくは約束をしてはならない。

罰則の内容は、個人に対して5年以下の懲役または500万円以下の罰金、さらに会社に対して3億円以下の罰金です。

 

企業のコンプライアンスの意識が高い日本企業は贈収賄に消極的ですが、現地の中国人やコンサルタントのなかには積極的に贈収を奨励してくることがあります。

確かに贈収賄により短期的には手続きが円滑に進むかもしれません。

一度、贈収賄で解決した企業の担当者は、次回もその方法を使ってトラブルを解決しようとしますが、何れ明るみに出ます。

 

政府の汚職防止が重点課題の最近の中国では贈収賄の取り締まりも厳しくなっています。

時間と費用がかかっても正式な手続きを以て解決することが最終的には企業の利益になります。

 

追記

2015年7月30日付けで「外国公務員収賄防止指針」が改訂されています。

改訂のポイントは、「営業上の不正の利益を得る目的」の解釈の明確化と、企業において外国公務員収賄防止体制の構築及び運用の必要性の明記です。

例えば、通関時の支払い要求は拒絶が原則であること、現地の社会習慣に基づく季節的な少額贈答品の提供は収賄とはならない可能性が示唆されています。


弁理士 田中智雄
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