文字と図形、図形と記号、記号と文字のような組合わせ商標は、商標を構成する構成要素の一つに識別力がなくても他の構成要素に識別力があれば、商標全体として識別力があると判断され登録され易くなります。

確かに識別力の有無から判断すると、文字・記号・図形だけの商標に比べれば識別力を発揮しやすく登録され易いというメリットはあります。

ただし識別力の有無は、商標審査の一つの基準に過ぎません。

 

商標審査のもう一つの大切な基準は商標類似です。

組合わせ商標の類似判断においても、商標を構成する構成要素の一つが引用商標に類似していても、商標全体として出所混同を生じるおそれがないほどに全体商標の外観・称呼・観念が相違すれば、商標全体として引用商標と類似しないと判断され結果的には登録されます。

 

「結果的には登録される」としたのには理由があります。

商標審査では、組合せ商標を構成する構成要素の一つが引用商標と類似していれば、商標全体として類似すると形式的に判断します。

商標全体として非類似と判断されるのは、形式的に拒絶された後に出願人が反論した場合です。

 

この運用は、日本をはじめ海外でも同じです。

例えば中国の場合、「組合せ商標における構成要素が同一または類似し、関連公衆に商品又は役務の出所を誤認させる恐れがあるものは、類似商標と判定する。」とし、「ただし、組合せ商標全体の外観、称呼又は観念が明らかに違い、関連公衆に商品又は役務の出所を誤認させる恐れがないものは除く。」という運用です(商標審査基準「組合せ商標の審査」参照)。

中国の場合は、日本のように審査の段階で反論する機会が与えられず、拒絶理由に対して不服がある場合は審判を請求して反論しなければなりません。

反論すれば登録される可能性はあっても、費用の高騰を嫌い審判を請求しない場合もあるでしょう。

 

組合せ商標は単一の商標に比べて拒絶されるリスクが高いことを知っておく必要があります。

そしてそのリスクは組み合わせの数に比例します。

 

参考 文字と図形を組み合わせた商標を登録するときに気をつけたいこと


弁理士 田中智雄
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